溺れかけた魚 - 石崎ひゅーい
词:石崎ひゅーい/須藤晃
曲:石崎ひゅーい
誰か僕を月に連れてってくれ
お願いだから
誰か僕を月に連れてってくれ
お願いだから
家の裏の丘のふもとで
三日月を探して
切り株に腰掛け
おにぎりを食べた
母さん
水筒のフタ開かないよ
開かないよ
あちこちの黄色や
オレンジや茶色の葉っぱと
真っ赤な花と銀色の鳥の羽
月の明かりの中で
全部が僕を見つめていた
それから僕は
仰向けに横たわって
夕暮れの空の片隅に
ある白い月の砂漠を
散歩するうさぎに
ずっと話しかけてたんだ
僕は水の上を自由に歩けます
五歳のときに気づいて
誰にもいわなかった
僕は晴れた日ならば
空を飛べるんです
十二のときに気づいて
誰にもいわなかった
頭の中には
ちゃんとした答えがあるんです
どんなときにでもある
いややっぱりないときゃない
問いつめるような
大人の言葉に圧倒されるまま
飲み込んで飲み込んで
飲み込んで生きてきた
あいつもこいつも
どいつもこいつも
みんなみんな
仕事ができないケツも
拭かない夢なんてない
僕には僕なりの
ビジョンがあっても自由だろ
新横浜すぎたから
もう覚悟を決めたおい
僕には牙もある
引っ掻く爪もある
けんかできないオトコと
誰もが思ってる
僕には借金がある
でも借りは返しちまいたい
さっさと顔を洗って
一から出直しだ
どうして恋人たちは
一緒のベッドで寝たがるのか
寝る時ぐらいはひとりで
のびのびしてたいはずなのに
どうして狭いベッドで
無理して抱き合い寝るのか
勇気を出して別々に
寝ようといったら
愛は終わるんだろうか?
愛は終わるんだろうか?
女は恋愛ごっこに夢中で
四六時中キスしてるから
鏡を見る暇もないんだね
世界中が映画の
ヒロインだらけかい?
それじゃまるで
溺れかけた魚のようだ
僕は水の上を
自由に歩けます
五歳のときに気づいて
誰にもいわなかった
僕は晴れた日ならば
空を飛べるんです
十二のときに気づいて
誰にもいわなかった
僕はバカかもしれない
だからなんだって言うんだ
そうお利口さんって
幼稚な大人のことじゃねえか
女は生まれた時に
全てを知って生まれて
男はゼロからスタートするから
勝てるわきゃない
愛してないんじゃないの?
愛情がなくなったんだろ?
だったら正直にいいなよ
あなたは考えすぎてる
私は気持ちで動いているし
言葉は信用しないし
嫌なものはいやあはは
僕にはタマもついてる
鼻毛もすね毛も生える
なのに女々しいガキだと
噂されてる気がしてるんだ
僕には輝きはあるのか
輝きって一体なんなんだ
もうそろそろ人目を
気にしないことにする
三日坊主っていうからには
四日目には落とし穴
わかっているのにハマるのは
なぜなんだろう
でもさ弱い方が
人間らしいし可愛がられるし
長生きするより
二十歳ぐらいで燃え尽きて
死んじゃえばよかった
死んじゃえばよかった
あああ三十歳すぎても
終わらない人生で
むき出しのハートはカエルの
解剖をしているみたいでさ
そして結局一番好きだった人を
ただその人のことを
ずっと想ってた
僕は水の上を自由に歩けます
五歳のときに気づいて
誰にもいわなかった
ボブディランみたいだろう?
僕は晴れた日ならば
空を飛べるんです
十二のときに気づいて
誰にもいわなかった
ねえもう考えることを
やめにしないかい?
あんまり考えすぎると
アリストテレスになっちまう
僕の邪馬台国は
どこにあると言うんだろう
国道沿いを西へ西へと歩くんだ
ある女が食卓の花に
少し牛乳をそそいでた
そんなことして大丈夫?
って聞いたら
これテレビで見たんだ
花がすごく元気になるよって
そんな花よりもオレを
元気にしてよっていったら
じゃあ
お風呂にはいればいいじゃん
お風呂にはいればいいじゃん
あああ流行りの雑誌を
読みあさってるやつらは
人生が何度でもリセットされると
勘違いしてる大馬鹿者なんだ
友達なくても生きていけるように
誰も愛さないし
誰にも愛されない
いやだあいやだあ
地に足が付いてない男たちは
アブク出してわらにも
すがりつく思いで
地べたをはいつくばっている
まるで酸欠でくたばりかけてる
そうか
僕が溺れかけた魚なんだね
僕は水の上を自由に歩けます
五歳のときに気づいて
誰にもいわなかった
僕は晴れた日ならば
空を飛べるんです
十二のときに気づいて
誰にもいわなかった
ああ僕は退屈を
通り越してただ笑っていた
僕はモヤモヤした気分で
ただ走り続けていた
チェッカー盤の格子模様みたいに
退屈と憂鬱が
交互に並んでいた
なぜか僕は学校の
運動場の鉄棒にぶら下がっていた
陰気な小学校の廊下は
セミの悲鳴のように
ミンミンと叫び続けて
僕を呼ぶのだ
ロッカーの鍵をなくしたから
いつも開けっぱなしの扉には
ポテトチップのラベルで
作った僕の名札が
不完全に貼られていた
不完全な僕らしく
あの子のコルク栓のような
ベージュの髪飾りは
コーヒー牛乳の空の瓶の中
雨が降り出し五種類の音が
聞こえてきた
トタン屋根に当たる音が
スコンスコンスコンスコン
ああ僕は体温計を
脇に挟むみたいに
脳みその端っこに
誰も知らないこの秘密を
こっそり隠したまま
生きながらえるんだろうか
大人になった自分は
嘘をつかずにいられるんだろうか
あっ熱がある
展开